地域に生きる
国際ジャーナルDec・2008・12・special interview

地域に生きる

「私の理想は、笑顔が絶えない会社。皆が明るい気持ちで仕事に臨めるならどんな苦難も乗り越えられるはずです」

一般住宅や大型建造物のリフォーム工事を手掛けている「正栄建設」。丁寧な施工と、フットワークの軽さには顧客や取引先からの高い評価が寄せられており、建設業界が厳しい局面に立たされている昨今も順調に業績を伸ばしている。「付加価値のある会社を心がけています」と語る森田社長のもとを、穂積隆信氏が訪れた。

 

穂積 早速ですが、森田社長が建築の世界に入られたきっかけからお聞かせ願いますか?

森田 私は学業終了後アパレル業界に進み、会社員として働いていたんです。けれども仕事に行き詰まりを感じていた時、建設業界で働く先輩から声をかけられましてね。「独立して会社を興すから、一緒に働かないか」と誘っていただいたんです。異業種への挑戦に迷いもありましたが、思い切って転身。建築業界に足を踏み入れました。

穂積 その後はどのように?

森田 現場で経験を積む内に、どんどん建築の仕事が面白くなってきました。そうして3~4年ほど働いた頃でしょうか、大手ゼネコンから声をかけていただき、そちらに移らせていただくことになったんです。

穂積 ほう。引き抜かれるとは、優秀でいらっしゃるのですね。そちらにはどのくらい勤めておいでで?

森田 9年ほどです。様々な現場を通して、幅広い技術・知識を身につけることができました。しかし、長く務める内に状況が変わってきましてね。社会が不景気に陥り、リストラが断行されるようになったんです。そうした不安定な雇用環境の中で、次第に独立を視野に入れるようになりました。そして、2000年に「正栄建設」を設立したんです。以来、当社ではリフォーム工事に特化して会社運営に取り組んでまいりまいした。

穂積 始められていかがでしたか?

森田 ありがたいことに、ゼネコン時代のお客様が引き続き依頼を下さったんです。私の方では、担当していたお客様については前職の勤め先にお任せするつもりでしたが「小回りが利いて信頼できるか」と、お客様の方から言って下さいましてね。心底から嬉しく、胸がいっぱいになりました。当社は大手企業から仕事をいただくことも多く、着実な歩みを続けています。振り返ってみればもちろん大変なこともありましたが、比較的順調に歩んでこられたのは、お客様に恵まれたからこそ。支えて下さる皆さんには、本当に感謝してるんです。

穂積 確固たる信頼関係を築いておられるのですね。リフォーム工事に特化しておらるのはどういった理由で?

森田 昨今、建築業界は長引く不況に悩まされています。新築の受注における減少傾向はさらに進んでいくでしょう。新築の受注が減少すると共に、これからはリフォーム工事が建築業務の主軸となっていくだろうと考えたんです。そうなった時、他社に負けない、突出した技術を身につけていたい。それで、当社ではリフォーム工事に特化し、技術を磨いてきたんです。

穂積 先を見据え、独自のカラーを打ち出してこられたのですね。お仕事の上で大切にされていることは?

森田 依頼内容に加えて”プラスアルファ”のサービスを提供できるよう努力しています。いただいた仕事を完遂するのは当たり前のこと。差別化を図るには、いかに付加価値をつけ、お客様に「またここに頼みたいな」と思っていただけるかが重要なんです。もちろん無理はできませんが、私どもにできる精一杯のことを模索し、常にベストを尽くすようにしています。

穂積 お客様に対して誠意を尽くしておられるのですね。現在、スタッフの方は何名いらっしゃるのですか?

森田 11名です。嬉しいことに、当社のスタッフは皆頑張り屋でしてね。最近では、簡単に仕事を辞めてしまう人が多いと聞きますが、当社では皆、腰を落ち着けて働いてくれています。ベテラン・若手共にバランス良く揃っており、私が中間くらいの年齢だからか、意見が言いやすく、働きやすい環境のようです。

穂積 人材が充実しているとは、喜ばしいことですね。

森田 ええ。当社は設立してまだ10年にも満たない、歩き出したばかりの会社です。なので、皆で力を合わせて一緒に会社をつくっていきたいと考えています。私が理想とするのは、スタッフの笑顔が絶えない会社。仕事をしていれば大変なこともあります。時にには休みを返上して、作業を進めなければいけないことも―――でも、笑っていられればどんな苦難も乗り越えられるのではないでしょうか。皆が明るい気持ちで仕事に向かえる会社でありたいです。

穂積 素敵な会社ですね。これからも皆さんで頑張って下さい!

                         (取材/2008年9月)